2024年度 一般社団法人 東広島青年会議所

第48代理事長 柏迫 一正


《スローガン》 Compassion ~誇りある未来を共に創ろう~

【スローガンについて】
Compassion:同感、共感を行動へつなげること。
青年会議所のあらゆる機会を通じ、同感・共感を集め、メンバーが未来に誇りをもてる活動を行う。

【はじめに】
“To provide leadership development opportunities that empower young people to create positive change.”
青年会議所の使命である、JCI Mission が 2022 年世界会議 香港大会の総会にて改定されました。
「leadership」という言葉が追加され、青年会議所は「Leadership Development Opportunities(リーダーシップの開発と成長の機会)」をいかに重視しているかを示し、「変化する世界に対応するリーダーを育成する組織である」ということをより明確にしました。

新型コロナウイルスに始まり、ロシアによるウクライナ侵攻、ICT や AI 技術による産業革命、気候変動、環境問題等、数えきれないほどの社会課題があり、世界は急激に変化しています。
そして世界だけでなく、私たちの住むまちや環境も目紛しく変化していることは、誰もが気付いているでしょう。
こんな不安要素が多い時代だからこそ、青年が果敢に挑戦し、自ら道を切り開いていく、強いリーダーシップが今一層、求められています。
しかし、リーダーシップとは何なのでしょうか。

私は、東広島市の水産加工会社で働く一青年です。
青年会議所に入会するまでは、リーダーシップについて考えたことはありませんでした。
入会後、青年会議所で様々な役職を経験でき、その中でたくさんの仲間、先輩、全国各地のメンバーと出会いました。
その中で自分なりに同感し、相手の思いに共感することで、青年会議所は私の意識を変えてくれました。
私は、リーダーシップとは、自分の置かれた環境の中であらゆる問題を見つけ出し、損得だけで物事を考えず人のために行動することだと考えます。
自分の視点から物事を見て感じ取り「同感」する。
そして、ある環境で誰かが感じている思いや感情を、自分ごとのように共有し「共感」する。
このような内発的動機こそが JC 運動の根幹です。
これらが備わった上で、誰かのために自ら起こす行動こそが、私たちに今、求められているリーダーシップではないでしょうか。
私たちが誇りある未来を思い描き、「より良くなろう」と、自分ために、社業のために、家族のために、社会のために行動を起こす時、未来を変えることができます。
次世代に繋げる、誇りある未来を創るために、私たちは進み続けよう。

【運動方針】
未来に誇れる真の国際都市を目指して東広島市は国際化の推進をまちづくりの基軸として掲げています。
現に東広島市に外国人在住者は、2023 年 7 月現在約 8,300 人、東広島市総人口に占める割合は 4.36%と広島県では最も高い
比率です。
生産年齢人口の減少が大変著しい日本において、今後さらに外国人労働者が増加傾向にあることがわかっています。
このような状況の最中、各地域に住む外国人のコミュニティには様々な問題が浮上しています。
例えば、不就学や日本語学習の困難、不安定な労働環境、社会保障といった問題です。
これらの問題は移住された外国人だけの問題でなく、受け入れ側のまちや私たち居住者の受け入れ体制にも課題があります。
例えば、東広島市の第3次東広島市国際化推進プランに記載されている、「東広島市 国際化に関する市民と外国人市民のアンケート」によりますと、市民は「外国人市民と共生するために行政が取り組むべきこと」として、「外国人へ日本の生活マナーや異文化理解の
啓発活動が必要」と5割以上の方が回答しています。
しかし一方、外国人市民は、「日常生活で困っていること」の回答では、「病気、怪我、災害の時の対応」、「言語の問題」、「税金や公共料金の支払い方」など、大部分が日常生活の問題を占めており、市民の意識と外国の生活でのニーズが噛み合っていないように考察します。
これらの課題を行政や外国人だけの問題として捉えていては、東広島市が真の国際都市となることは難しいでしょう。
市民と東広島市に住む外国人との相互理解を深め、相手が置かれている環境に心を寄せ、未来に誇れる国際都市を目指し、行動を起こしましょう。

市制 50 周年を迎え、東広島 9 町をさらに輝かせる1974 年に西条町、志和町、高屋町、八本松町が合併し、東広島市が発足しました。
本年はこの年から数えて市制 50 周年を迎えます。
2005 年に黒瀬町、福富町、豊栄町、河内町、安芸津町が編入し、現在の地域が 9 つある東広島となりました。
それから約 20 年が経過し、経済や社会構造、市民の生活形態や意識も多様化するなど、地域の状況は大きく変容しています。
またこれらの変化に伴う地域経済の実態に目を向けると、人手不足、コロナ後の収益力改善や事業再生、物価高騰による価格転嫁等、多くの課題があり厳しい状況が続いています。
9 つある地域を東広島に残していくためには、各地域における持続的な発展を目指していかなければなりません。
社会のポジティブな状況としては、近年の SDGs 推進により、事業者による地域課題解決の取り組みは増加傾向にあります。
当然、我々も事業の社会的な意義を明確化しながら、各地域に展開を図り、地域の成長に向けた、価値の創出を実現していかなければなりません。
東広島の 9 つの地域にはそれぞれの特性が数多くあります。
この特性を「地域活性化の切り札」として、他団体、中小企業・小規模事業者、自治体と連携し、価値創出に取り組むことで中長期的に成長を遂げることができます。
またその取り組みは地域経済の外需獲得や域内経済へ波及効果をもたらし、地域経済の発展を促します。
次の 10 年、20 年に向け、新たな地域価値を創出する戦略とイノベーションを生み出し、まちの持続的な成長を目指しましょう。
市制 50 周年を契機に、この 9 つの地域がそれぞれの特性において、輝き続ける取り組みを皆で一丸となって取り組んでいきましょう。
LOM を超えたパートナーシップの構築事業や例会を通じて、インプットする機会も重要ですが、それ以上に、共に汗を流して、喜び
を共感したメンバーとの友情も大切です。
なぜなら、その時に何かを懸命に取り組んだメンバーとは、青年会議所を卒業した後も一生付き合える仲間として自分の財産となるからです。
青年会所に所属できる 40 歳までの間に、一人でも多くの仲間を作り、心と心を通じ合わせることで、自分の成長の糧としていきましょう。
そのためには、LOM 内の会員と交流するだけでなく、青年会議所のスケールメリットを活かし、他 LOM と交流し、親睦をさらに深めていくことが必要です。
広島県内には 12LOM あり、出向などを通して多く交流できる機会があります。
そして東広島青年会議所には 1981 年に兄弟 JC として締結した北広島青年会議所があり、また市としても姉妹都市縁組を結んでいます。
北広島市は昨年、新球場が開業し、全国的にも注目され、市外からの投資による経済効果も期待されているまちですが、北広島青年会議所は会員数が少ない状況が続いています。
私たちが兄弟 JC として何か行動を起こさなければ、もしかするとこのまま関係がなくなるかもしれません。
互いに刺激し合い、切磋琢磨していくパートナーと関係を再構築していきましょう。
今よりもさらに会員の仲間づくりを活発化させるため、交流の機会を創出していきましょう。
LOM の組織力を向上させ、個人が成長できる機会を東広島青年会議所は、2022 年に広島ブロック協議会、2023 年は中国地区協議会へ役員運営団を輩出してきました。
そして本年は LOM の歴史の中で初めて、日本青年会議所 副会頭の役職を得ることができました。
これは近年の会員増加、そしてメンバー各自のご尽力の賜物により、LOMだけでなく出向先でも活躍できるメンバーが増加した成果であり、組織としての誇りです。
出向を重ねているメンバーは、LOM 以外の会議や事業に多く参画し、経験を積み、見識を深めています。
本年はこの経験と見識を LOM に活かし、組織力を向上させる取り組みを行います。LOM の会議体制や、当たり前のように行っている例会や事業の取組み内容を今一度見直し、組織を通して、各メンバーが成長できるプログラムを実施しましょう。
例えば、2018 年に日本青年会議所の定款に明記されたビジネスの機会の提供です。
おそらく多くのメンバーの入会動機の一つに、「自分の仕事をもっと発展させたい。」という思いがあるのではないでしょうか。
例会や事業などでビジネス向けの講演や研修は行っていますが、LOM ではビジネスを発展させる機会や仕組みがまだまだ少ない現状があり、会員間または LOM を超えたビジネスを創出することが必要です。
会員のビジネスの発展は、必ず LOM 組織の発展につながり、その効果はいずれ地域にも派生します。
また、LOM はこれまで以上に日本青年会議所と近い関係にあり、今は組織力やプログラムを一気に向上させていく最大の機会が巡ってきています。
副会頭という役職を LOM 一丸となって支えていくことはもちろんですが、LOM のメンバーにとっても人脈、交流、学びの面で大きな影響をもたらしてくれます。
このつながりは日本青年会議所と東広島青年会議所の関係だけには留まりません。
全国各地の出向者から注目され、様々な場面で連携をとっていく必要があります。
この機会を存分に活かし、LOM の組織力が大きく飛躍する 1 年にしましょう。
出会いから卒業まで。一人ひとりを大切にした会員拡大会員拡大運動を常に続けていくことは、将来 LOM がさらに魅力ある組織となれるかどうかの岐路です。
年齢 30 歳後半、地元の中小企業経営者、男性中心の団体と、年齢層が 20〜40 歳と幅広く、様々な社会的立場の人々が集う団体とでは、どちらがダイナミックで社会に効果的な活動ができるかといえば、間違いなく後者です。
新たな価値観をもった人が多く入会することで、メンバーの意識も変わり、地域や社会を変えていく根源となります。
このような魅力ある組織となるために、会員拡大は全メンバーの最優先事項です。
今、所属する私たち一人ひとりが常に拡大する意識を持ち、本気で取り組むことで、多くの同志が集い、より明るい豊かな地域社会の実現に近づきます。
青年会議所の運動はすべてが出会いから始まります。
出会いが人を成長させ、組織の好循環を生み出します。
そのために、青年会議所の活動に共感してもらえるよう、多くの出会いの場を作りましょう。
そして、人は必ず何かを求めて入会します。
私は、「自分の会社をもっと発展させ、家族を幸せにしたい。そのための勉強の場としよう。」という動機で入会しました。
入会のきっかけは様々ですが、おそらく各自何か果たしたいことがあり、自ら入会を決めたのだと思います。
青年会議所は、組織を通して、役職と友から学び、人格を形成できる強みがあります。
運動に力を尽くす中で、少しずつ自身の価値観の範囲を広げてくれます。本年は新入会員、近年入会者を中心としたメンバーが入会後、各個人の目的を明確化し、青年会議所のプログラムの中で個人に沿った卒業までの成長プランを作り、それが達成できるような仕組みづくりをしていきましょう。
中期ビジョンの検証。PDCA サイクルで見直す習慣を2022 年に 5 ヶ年の中期ビジョンを策定し、2024 年終了時点で折り返しとなります。
これまで中期ビジョンに沿った事業計画を実施してきましたが、国やまち、LOM の課題も年々変化しています。
本年はビジョン最終年の 2026 年に向け、これまで行ってきた事業の評価、検証を行い、次なるアクションプランを策定します。
ビジョンをブラッシュアップすることで、行動計画は常に変化していきます。
例えば、国際色豊かなまちづくりのビジョンと経済活動を活性化させるビジョンとでは次に執る行動は変わってきます。
ビジネスにおいても同様ですが、ビジョンから定めた計画をただ実行するだけでなく、検証を重視し、次のアクションを実施するサイクルが重要です。
徹底した検証を行うことで、そこから問題意識をもち、それらに取り組む過程で人は成長することができます。
そして成長した人がまちに溢れる事で地域は豊かになっていきます。
まずは地域の課題を分析し、その解決方法を選び、実行し検証を行う。
この一連の流れを青年会議所だけで行わず、地域、行政、他団体、市民と一緒になって実施し、PDCA サイクルのように何度も回して
いく事業構築を習慣化していきましょう。
未来に誇れる地球環境の教育推進近年、気温上昇や大雨の頻度増加など気候変動が世界的に進行しており、今後さらに進行することが懸念されています。
これらを原因とする農水産物の品質低下、災害の増加、熱中症のリスク増加など、その影響が全国各地で現れており、人類や生き物にとっての生存基盤を揺るがす、「気候危機」ともいわれています。
今も輩出され続けている温室効果ガスの増加により地球温暖化は進行し、将来世代にわたる影響が強く懸念されています。
2020 年に温室効果ガス削減目標として、「2050 年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」を目指す方針が示されました。
日本における気候変動適応法に基づく気候変動適応計画が策定され、すでに顕在化し、将来予測される気候変動の影響を軽減するための取組みも進められているところです。
国が進めるこの施策は研究、調査による体制整備や施策推進が主な取り組みですが、私たちが地域でできる取り組みは、地域の実情に応じていく必要があります。
市民の理解を深め、能動的行動を起こす取り組みを行なっていきましょう。
その一つとして、2050 年頃に社会の中心を担う将来世代に、地球環境の変化を学ぶ機会を与え、問題に積極的に取り組み、研究することで安心して暮らせる未来を想像できるような新たな仕組みづくりが必要であると考えます。
一過性の意識付けや動機付けで終わることなく、学校教育の授業や課外活動などへ持続的に取り組む構造をもたせることができれば、より効果を発揮するでしょう。
長年の継続事業であるみどりの少年団は、緑化推進を中核的な活動とし、自然を通して郷土愛や人格形成を学ぶ現代社会の教育ニーズに合った活動です。
この長年の活動ノウハウを活かし、より多くの子供たちにも波及させ、地球環境を考えて行動できる次世代を育てる新たな運動を起
こしましょう。
広島ブロック大会の主管。
東広島の魅力発信と組織の成長を10 年ぶりに広島ブロック協議会の広島ブロック大会を主管します。
ブロック大会は県内 12LOMのメンバーが一同に集う、広島ブロック協議会にとって、最大の運動発信の場です。
この大会を主管することで、私は 4 つの益があると考えます。
「地域益」、「主催者益」、「参加者益」、「社会益」の 4 つです。
その中でも私たちが特に重視すべきものは「地域益」ではないでしょうか。
東広島の魅力を私たちの目線から、県内のメンバーと東広島市民に伝えることのできる重要な機会となります。
また私たちにとって、2019 年度 中国地区コンファレンス以来の大きな主管大会です。
地区コンファレンスの主管を経験したメンバーが少なくなってきた今、歴の長いメンバーの経験を LOM内に伝えることのできる、組織としての成長の場となります。
この「主催者益」となる、LOM の成長を得るために、全体で準備に取り組み、大会を必ず成功に終えるよう、LOM の基盤をより強
固なものとしましょう。
また広島ブロック協議会との連携も欠かせません。
綿密な連携をとりながら、LOM の垣根を越えて協力し合い、共感を創り出すことが大切です。
懸命に行動する中で、様々な困難や悩みが生じることが予測されますが、最後には大きな達成感とメンバーとの深い絆が生まれ、この経験は必ずや私たちの財産となります。
私たち東広島青年会議所が一丸となり、広島県内各地の絆、メンバーの絆を紡ぎ、東広島らしい唯一無二の大会を構築しましょう。

【最後に】
世の中の変化を他人事のように傍観し、これまでと同じような働き方や生活を続けていれば、将来間違いなく淘汰される時代となりました。
多くの不安要素がある世の中であるがゆえ、多くの人が未来に不安を抱き、明るい未来が想像しにくい時代になっています。
私たちがこの変化に何も感じず、これまでと同じように同じことを繰り返していれば、より良い未来を自ら創ることは決してできません。
何か変えようと挑戦する時は失敗を恐れる心が芽生えるかもしれません。
しかし、前向きに挑戦する中で生まれた失敗は、次の成功のための貴重な財産となります。
たとえ、ここで失敗したとしても、次の世代のメンバーがそれを教訓とし、きっと成功へと繋げてくれると私は信じています。
「未来は、あなたが今日何をしたかで決まる」
自分の可能性は自分の中にあり、今を生きている私たちだけが、己の未来を創ることができます。
誰かのためを思い、そして尽くしていく。
そんなあなたの行動は、本当にかけがえのないものです。
あなたが行動することで、あなたとあなたの周りの未来が変わります。

Have compassion and create our proud futures.
あなたの大切なもののために、誇りある未来を共に創ろう。