理事長所信


2019年度一般社団法人東広島青年会議

第43代理事長 部谷 拓司

《スローガン》
All for one
~ 絆を育み、共に望み有る未来を拓こう ~

  • はじめに

1977年11月11日、高い志を持った青年達の手により、緑の大地ここ東広島に新しい青年の灯がともされました。以来、東広島青年会議所は「明るい豊かな社会」の実現に向け、人づくりを通じてまちづくりを行う団体として様々なJC運動を邁進して参りました。まずは永きに渡り地域のために連綿とJC運動をつないでこられた先輩諸兄の功績に敬意を表すると共に、日頃より私たちの運動をご理解、ご協力いただいております市民や行政をはじめとする関係諸団体の皆様に深く感謝申し上げます。

我々が活動の拠点とする東広島市は、1974年の市制施行以来、「賀茂学園都市建設」、「広島中央テクノポリス建設」などの巨大プロジェクトにより、広島大学の統合移転をはじめとする学術研究機能の集積が進み、産業基盤の整備、高速・広域交通ネットワークなどの都市基盤の充実を背景に、全国から注目を集める成長都市として、飛躍的な発展を遂げてまいりました。人口減少・超高齢化が進む我が国において、人口増加が続く自治体は全国的に稀であり、現在、東広島市は人口20万都市を目指してまちづくりが進められておりますが、一部では人口減少や少子高齢化に伴い生活サービスや地域コミュニティの希薄化が懸念されている地域も存在しております。また市全体としても長期的には人口減少が確実に進むものと考えられ、静かなる有事は我がまちにも押し迫っております。そのため、将来的な人口と都市規模を見極めながら段階的に都市を再構築していかなければならない時期が近づいてきております。

また昨年は西日本豪雨災害に我がまちも大きな打撃を受けました。こんな時だからこそ、このまちの成長と共に歩んできた責任世代である我々が、東広島市の明るい豊かな社会の実現に向け、様々な課題や困難について真剣に考え、会員全員で同じ目的に向かって邁進して行かなければなりません。

~ みんなは一つの目的(明るい豊かな社会の実現)のために ~

 

  • 絆を育む組織運営

近年の飛躍的な会員拡大により、会員数が増え、全ての会員と交流する機会が減っている現状があります。せっかく同じ組織に属するのであれば、お互いのことを良く知らない会員がいるまま青年会議所活動を終えてしまっては、大きな機会の損失であり、なにより寂しくもあります。全員を知り、全員に知ってもらう、そのためには少しでも多く語り合い、会員同士がお互いに関心を持つ仕組みを構築して行かなければなりません。

絆を育むには時間が掛かります。共に活動し、喜びや苦しさを共感し、お互いの本質を理解し合って初めて信頼関係が生まれ、素晴らしい相乗効果が発揮されます。

まずは身近なコミュニティから組織目的の設定、貢献意欲の醸成、意思疎通の活性化を心がけ、会員同士の絆を育み、生み出される一体感や安定感をLOM全体に伝播させ、東広島青年会議所の良さである一枚岩をより強固なものにして参りましょう。

 

  • 多くの学びの機会の提供を

人に優しくあるためには、まずは自分自身が強くならなくてはなりません。弱いと自分自身を守るのが精一杯で、人に優しくする余裕など生まれないからです。強さとは、一般的に「知力」「体力」「気力」で構成されますが、「知力」については、知能指数が高いとか、多くの知識を備えているというだけのことではなく、経験から教訓を学び取る力が大切であると考えます。

青年会議所活動において、この経験を積むことのできる学びの機会は多くあります。青年会議所活動の基本である「例会」を取ってみても、PDCAサイクルの過程の中で多くの学びの機会がありますし、出向や渉外においても全国各地の同志や地域文化との交流などを通じ、様々な人の考え方や魅力・能力に触れ合う機会があります。少しでも多くの機会を提供するためには、会員が義務として出席するのではなく、自らの意思で参加したいと思える発信を心がける必要があります。

青年会議所活動ができる期間は有限です。経済的負担や時間的負担はありますが、負担を負荷と捉え、今しかできない経験を沢山積み重ね、優しくあるための強さを身に着けて参りましょう。強さは愛する家族を守るため、愛する地域を守るための力となります。

 

  • まちに想いを寄せる

東広島市の明るい豊かな社会を実現するためには、次世代を担う若者達の郷土を愛する気持ちを醸成していかなければなりません。郷土愛は、自然や文化、歴史、伝統など様々なまちの魅力に触れ、まちの人々と人間関係を深めることで育まれると考えます。我々が活動の拠点とする東広島市には、豊かな自然や伝統文化、歴史的文化遺産、観光資源など、様々な魅力があります。

これまで東広島青年会議所が最も永く携わってきた「東広島みどりの少年団」についても、1980年3月に創立されて以来、これまで数多くの次世代を担う若者達の郷土愛を育んで参りました。また、2017年より継続している「東広島こどもドリームアカデミー」についても、まちの魅力に触れ、まちの人々と人間関係を深めることで郷土愛が育まれる素晴らしい事業だと確信しております。3回目を迎える本年度は、この素晴らしい事業を継続的に続けていくための仕組みを構築していきたいと考えております。

次世代を担う若者達が自分たちの生まれ育った郷土を愛し、この地域の未来を創造していく次世代のリーダーへと成長していく、そのような事業や仕組みを構築して参ります。

 

  • 持続可能な社会の実現に向けて

我々が生きる地球は、経済、社会および環境の面で大きな課題に直面しています。こうした課題に対処するため、 2015年に開催された国連持続可能な開発サミットにおいて、先進国を含む国際社会全体の2030年に向けた環境・経済・社会について達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成される「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されました。

「SDGs」は、我々の地域社会や企業が発展するために知らなければならない社会が抱える課題(アジェンダ)が包括的に網羅されており、持続可能な地域社会や事業を展開していくためのツールとして、自治体や民間企業においても積極的に取り組む気運が高まってきています。「SDGs」に最大限貢献するためには、「SDGs」の理解、優先課題の決定、目標の設定を行い、具体的に行動していくことが必要であり、その行動の先には、地域社会の課題解決、企業の経営リスクやビジネスチャンスへの対応へと繋がっていくことが考えられます。青年経済人を多く擁する東広島青年会議所においても、会員が「SDGs」を理解し社会課題解決に結びついた経済活動を実践すること、また普及啓発活動を行うことにより、「SDGs」に貢献して参ります。

また、「SDGs」には、防災に関連する目標も策定されております。昨年、我がまちにも大きな打撃を与えた西日本豪雨災害の経験から、災害から住民の命と生活を守るためには、公助のみでなく、自分たちの命は自分たちで守るという「自主防災」(自助)、あるいはコミュニティに根差して取り組むという「地区防災」(共助)が不可欠であることを学びました。今後も想定外の災害が起こりうることを理解し、自らが災害から身を守る為、自助・共助・公助の取り組みを一人でも多くの市民に周知する必要があると考えます。

  • 魅力発信

東広島市には、県央に位置する内陸部の山々や美しい田園風景、瀬戸内ならではの多島美などの風光明媚で豊かな自然環境、若者が集い新たな社会的価値を創造する大学などの知的資源をはじめ、昨年「日本の20世紀遺産20選」に選定された、西条の酒造施設群に代表される歴史的・文化的な資産、さらには、たゆまぬ教育研究に裏打ちされた伝統ある教育や、市内全域における住民自治協議会の活動など、多くの地域資源や魅力があります。

東広島青年会議所の会員は、一人ひとりが郷土の魅力を理解し、自らが発信者であるという自覚を持ち、身近な人や地域に魅力を発信できる魅力的な人材にならなければなりません。

郷土の魅力だけではなく、青年会議所運動や所属する会員の魅力をより効果的に発信するため、時代に即した広報手段を用い、共感が生まれる「楽しく魅せる広報」を心がけ、東広島青年会議所の魅力が市民に伝播し、地域から必要とされる誇りの持てる団体へと進化させて参りましょう。

 

  • 同志の拡大育成

地域のことを想う青年が一人でも多く集うと、そこにはどんな力が生まれるでしょうか。

会員拡大と事業は青年会議所活動において両輪であります。会員数は組織の力であることは言うまでもなく、予算面で考えても事業費が多い方がより事業の選択肢を広げることができますが、何より、ひとづくりを通じてまちづくりを行う団体として、地域のことを想う同志を一人でも多く育むことができれば、青年会議所運動の原動力となり、明るい豊かな社会の実現に向け、より良い事業を力強く展開して行くことができるようになります。

近年の飛躍的な会員拡大により、東広島青年会議所は中国地区内でも2番目の会員数を誇るLOMへと成長いたしました。しかし、会員の平均年齢は年々徐々に上がっており、4年以内の卒業生の数は会員の半数を占め、青年会議所活動経験の豊富なメンバーも減少しております。継続的な会員拡大が必要であることはもちろんのこと、未来を見据えた会員拡大や減らさない努力もまた必要ではないでしょうか。

会員拡大活動は自分の中のJCを見つめ直すことのできる機会でもあり、自分の魅力で人を引き付けることができるかどうかが問われるものでもあります。今一度、自分の中のJCを見つめ直し、自分の魅力を最大限引き出し、我々の活動に共感してくれる同志を拡大させ、明るい豊かな社会の実現に向けて取り組んで参りましょう。

 

  • 中国地区コンファレンス開催にあたり

青年会議所は明るい豊かな社会の実現を目指し、活動の拠点とするそれぞれの地域を活性化させるべく様々な活動を行っており、中国5県にも我々と同じく、それぞれの地域の事を想い運動を展開している多くの同志がいます。

本年度、その同志たちが一堂に会する中国地区コンファレンスが、当時はまだ「地区フォーラム」という名称で開催されていた1994年以来、実に25年もの歳月を経て東広島の地で開催されます。

この頂いた貴重な機会を近年の会員拡大の集大成と捉え、会員数はもちろんのこと、会員一人ひとりのポテンシャルを最大限に発揮し、中国地区最大級のマンパワーと最高級のおもてなしの心をもってその日を迎えましょう。また、この機会を最大限に活かし、多くの市民の方々に郷土の魅力を感じていただき郷土愛を育むと共に、青年会議所の魅力を力強く発信して参りましょう。

 

  • 結びに

私は10年前に父の病が転機となり、東広島市にUターンしました。帰郷直後に父は他界し、跡を継いで前職とは異なる業種に就きましたが、当初は相談できる知人も少なく、家族・社員を養う責任と相まって、孤独と不安で押しつぶされそうな日々を送っておりました。そんな中、先輩に声をかけて頂き東広島青年会議所に入会しました。入会当初、知人が増え仕事にも繋がれば良いなと、利己的だった私の意識も、志高き方たちと青年会議所活動を共にし、現役だけでなく卒業後もJCや地域のために活躍されている先輩方の背中を見て、徐々に仲間のため、このまちのために頑張ろう、次世代を担う若者達のために何かを残そうと、利他的な考え方が根付いてきました。

青年会議所活動を行う上で仕事も家庭も順調ではなかった。挫折や苦悩もあった。しかし今まで頑張ってくることができたのは普遍的なものがあったからです。それは大好きなこのまち、このまちに住む人たち、そして身近な仲間や家族たち、その存在が己を強くし、仲間たちと共に高め合って今日までやってくることができたのだと確信しています。本年度は理事長という責任ある役職で、このかけがえのない仲間と共に、大好きなまちのため、次世代を担う若者達のために活動できることをうれしく思うと共に、皆様の期待を力に変え全力で取り組む事をお約束いたします。

最後に、会員の皆さん、人それぞれ青年会議所に入ったきっかけや動機は違えど、少なからず自分の意志で入会した事実は変わりません。どうせやるならとことんやってみましょう。苦しい時にこそ、取り組んでいる物事や、取り組んでいる人の本質が見えてきます。在るが儘、逃げずに取り組めば、いずれ光明が見えてきます。共に多くを学び、多くの絆を育みながら同じ目的に向かって邁進して参りましょう。

そして、やり遂げた者にしか見えない景色を一年の最後に共に見よう!